『さいえんす川柳 「研究者あるある」傑作選』を読んだよ:生命科学系あるある過ぎて笑いが止まらない

読書
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はじめに

わたしは大学から生命科学系の学部に入学し、現在に至るまで研究の現場を見てそこに携わってきました。

今は第一線とまではいかないまでも、自分自身も実際に研究して論文を書いてきました。

そういったわたしから見た本書『さいえんす川柳「研究者あるある」傑作選』は、まさにあるあるを5-7-5の17文字で綴った秀逸な句が取り揃えてあります。

本書に掲載されている川柳は、サーモフィッシャーサイエンティフィックが、2013年から2019年まで毎年実施していた研究者川柳イベント「川柳 in the ラボ」の応募作から選抜されたものです。サーモフィッシャーサイエンティフィックは、生命科学関連の機器、試薬の提供を主にしている企業です。したがって、この研究者川柳イベントへの主な応募者は、大学や企業に所属する現役の生命科学系研究者です。

これらの「さいえんす川柳」はどれも、わかる〜、あるある、と思うものでしたが、この中でも特にわたしにささった7句を紹介したいと思います。

10分の 静置の合間 ランチ食う

これは、わたしもよくやっていました。

実験では、反応の進行などを待つために、数分から数十分間、試験管やチューブを置いておく(静置)場合があります。

そんな時間を無駄にすまいと、自分の研究に関連する論文を探して読んだり、進捗報告をするための資料を作成したり、別の実験の仕込みをしたりしていました。

そしてそれがお昼時だと、ごはん食べるんですよね(笑)

慣れてくると、初めの静置の間にお湯を沸かしてカップ麺にお湯を入れ、その後の3分程度で静置していたサンプルに次の操作をし、次の静置で出来上がったカップ麺を食する、なんて高等技術を会得することもできます。

家よりも 生活感ある 研究室

実験によっては、時間経過を追って観察し続けなければならないこともあって、そんなときはどうしても夜中まで実験・観察をおこなうことになります。

そうなってくると、家に帰るより実験室で寝ればよくね?となることもしばしば。

食糧を持ち込み、折りたたみベッドを持ち込み、寝る前に読むマンガを持ち込み、自分のデスクや実験台まわりが生活感にあふれることになります。

実験室で寝て、翌朝起きてそのまま実験を再開してたら、ラボに来た後輩から「先輩、ベッドが邪魔で自分のデスクにたどり着けないんですけど」と苦情をもらったこともあります(笑)

なぜ懲りぬ 発表当日 徹夜明け

研究室では、各メンバーの研究進捗や最新論文の紹介をしあう「ゼミ」が定期的に開催されます。

その発表準備には結構時間がかかるものです。

しかし、このデータを付け足すことができたらもっと良くなる!とか、この論文読んでるうちに紹介するほど面白くなくね?とか、考えたりしちゃうこともしばしば。

そうこうしてると、なかなか準備が進まずに気づいたら発表前日。頑張って徹夜して発表に間に合わせることになるのです。

そんな感じで臨んだ発表で、途中何を話しているのかわからなくなったり、質疑応答でうまく頭が回らなかったり。

次はもっと早めに準備をしよう!ってその時は思うんですけど、なんで同じ過ちを繰り返してしまうんですかね。

こびと来て 論文仕上げる 夢を見る

研究論文を執筆するって、大変なことです。

実験データをまとめ、間違いがないか再検証し、考察を書き、多くの人に興味をもって読んでもらえるようにイントロを書き、参考文献をリストアップし、一朝一夕でどうにかなるものではありません。数ヶ月かかることもあります。

集中力だけではなく、書き上げるためには体力や精神力も必要です。

寝てる間にこびとさんが来て仕上げてくれたらいいのに、って実際にわたしも思いました。

まぁでもそんな都合のいいことはないんです。でも論文書いて発表しなければ、自分が時間と労力をかけて明らかにしたことが日の目を見ることはない、、、ってジレンマ。

研究に 没頭し過ぎて 妻逃げる

妻には逃げられたことはありませんが(そもそも未婚ですが)、彼女に逃げられました。

ええ、研究が楽しくて彼女との時間よりも実験を優先していたら、突然別れを突きつけられました。

当時は意味わかりませんでしたが、今でもよくわかりません。

結局「研究(仕事)と私のどっちが大事なの!?」っていうことでしょ?

そもそも比較の対象じゃないですやん。

まぁでも今ならわたしももう少しうまくやるかな。

ボスの「あれ」 通じた私は 一人前

これは研究者じゃなくても通ずるところはあるのではないでしょうか。

一日の大半をラボで過ごし、研究や実験に関してよく意見交換をするボスなのですから、ボスの思考とのシンクロ率は高まってくるものです。

「その実験結果、あの論文のあのデータと整合性とれてないんじゃ?」とか、「次はあの実験であれして」とか、ボスにそんなことを言われた後輩に何度通訳してあげたことか、、、

そんな後輩が、さらにその後輩に通訳してあげてるのを見ると、とても嬉しくなるものです。ようこそ、ボスワールドへ。

別れても 卒業までは 同じラボ

いや、これはマジで苦痛でしたよ。

別れてから彼女が卒業するまでの2年、わたしにラボでの人権なんてありませんでしたよ。

だってまぁ別れの原因を作ったのはわたしなんですから(上で紹介した句参照)。

さらには同期の女性陣で結託までするんですから。

いや、もうわかったから、ごめんって、と耐え忍んだ2年間でした。

でも同じラボなので近い研究はしたりするわけで、なんだかんだで研究の情報交換したりとか、研究引き継いだり引き継いでもらったりとかで、一緒に出した論文が2本ありますね。

まとめ

頑張って7句ピックアップしましたが、他にも面白い句はいっぱいあります。

「細胞が」とか言いながら待ち合わせに遅刻してくる彼や、マウスへの愛が止まらない彼女や、いつも帰りが遅く(なんなら帰ってこない日もあるほど)楽しげに実験に勤しむ家族のことが、本書でちょっとだけ理解できるかもしれません。

「ちょっと変わった人」と思われることも多々ありますが、生命現象を理解したいという探究心、病に苦しむ人を救いたいという強い信念、その他それぞれの思いを持って、日夜研究に励んでいるんです。

そんな研究者を理解し、温かく応援していただけると幸いです。

番外編

リケジョです。 婚期を逃し かけてます。

これを詠んだ方、すぐに連絡をください。

研究者の生態をよくわかってる結婚相手を絶賛募集中のわたしです。

とりあえず一度お茶しましょう。なんなら研究室までお伺いしましょうか?

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