前回、フロントフォークのオーバーホールを行い、ボロボロだったシール類の交換とヘドロのようなフォークオイルを交換しました。
今回は、引きずっている前後キャリパーのオーバーホール、さらに摩耗しているリアディスクローターを交換していきます。
フロントキャリパーのオーバーホール
マスターのリザーバータンクを開ける
キャリパーやブレーキホースを外す前に、リザーバータンクのフタを開けておきます。フルードを抜いた後だと陰圧になって開けづらくなりますし、そもそも万が一フタのネジがバカになっていて開かなければフルードを交換することができませんし。
現れたのは薄い麦茶のような色をしたブレーキフルード。劣化してますね。
ダイヤフラムは破れや硬化等なく、大丈夫そう。
キャリパーの取り外し
まず、パッドピンを緩めます。キャリパーを外した後だと、トルクをかけづらいです。5mmの六角レンチで。
つづいて、キャリパーを固定しているボルトを外します。12mmのメガネレンチで。
おっと、バンジョーボルトを緩めるのを忘れていました。12mmのメガネレンチで。ほんのちょっと緩めるだけにしないと、周りがフルードまみれになるので注意。
途中でステムのチェックしておこうと思いつきました。エンジン下側のフレーム前方にリジットラックをかけ、フロントのメンテナンススタンドを外します。
ハンドルの動きはスムーズ、途中ガタ等もなさそうなのでOK。
キャリパーからバンジョーボルトを完全に抜き、ホースからフルードを抜きます。グリコール系のブレーキフルードは塗装を傷めるため、あらかじめ水を張ったバケツで受けます。
ブレーキフルードを抜いた後、わずかに残ったフルードが垂れてこないよう、ホースの端をペーパーでカバーしておきました。
キャリパー内のフルードも抜きます。ひっくり返すだけ。
キャリパーのオーバーホール作業
フルードを抜いた後、キャリパーピストンを外すためにバンジョーボルトの穴から圧縮空気を吹き込みます。圧がかかってピストンが出てくるはず。
あらかた頭が出てきたピストンを、ピストンツールで取り外します。ピストン内側を掴む構造になっており、ピストン外周に傷がつかないようになっています。
外したピストンたち。
ピストンを外したキャリパーから、シール類を外します。シールがはまり込んでいる溝の周囲に傷が入らないよう、ピックツールをシールに直接ぶっ刺して外します。どうせシールは新品に交換するし。
薄めた中性洗剤(台所用洗剤を使いました)と歯ブラシを使い、ブレーキダストを落としていきます。
流水ですすぎ、洗剤を洗い流します。
洗い終わったキャリパーは、エアを吹きかけて乾燥させます。ちょっと汚れが残っているのはご愛嬌。
キャリパーから外したピストンをピカールで磨きます。キャリパー内に入っていた部分は大丈夫そうで、ちょっと飛び出ていた部分に汚れが蓄積していました。
磨く際は必ず円周方向に、縦溝が入るとそこからフルードが漏れる可能性があります。
こんなもんで許してやらぁ。
表面が錆びているパッドピンも磨きます。錆びてるだけで段つきはなさそうですが、交換するかちょっと迷いました。
キャリパーの組み立て
清掃したパーツ類を組んでいきます。
まずはキャリパーにピストンを入れるところから。
CB400SF(NC42)のピストン径は、上側が32mm、下側が30mm。それぞれに対応する純正シールセットが06451-MCJ-751と06451-MCZ-006。対向4ポッドでキャリパー2つなので、4つずつ必要です。
シール類にブレーキフルードを塗布してキャリパーの溝にはめていきます。シールセットのうち、シール内側が平らになっている方が奥のシールで、ちょっと段がついている方が手前側のダストシール。
フルードで濡れたところにピストンをまっすぐ挿入していきますが、入っていく音がちょっとえっち。
ピストンを組みつけたキャリパーに、ブレーキパッドを取り付けます。今回はもともとついていたパッドを掃除して戻しました。
パッドスプリングには方向性があるので注意。UPと書いてある方が、バンジョーボルト側になります。
組み上がったキャリパー。パッドスクリングの間をパッドピンが通過するような形。
キャリパーを車体へ取り付け・エア抜き
組んだキャリパーを車体に取り付けます。
キャリパーを固定した後、パッドピンを増し締めするのを忘れないこと。
バンジョーワッシャーは新品(90545-300-000)に交換。締め付けの際に潰れて漏れを防ぐものなので。
リザーバータンクに新しいブレーキフルードを入れ、エア抜きをしていきます。
エア抜きは、エアツールのブリーダーキットを使うと一気に終わらせることができます。ニップルに8mmのメガネレンチをかけておき、エアで陰圧をかけた状態でニップルを緩めると、マスター側のフルードを吸ってくれます。
リザーバータンクのフルードがなくならないように気をつけながら、ニップル部分からフルードが出てきたらOK。あとはブレーキタッチを確認しながら、ちょっと残ったエアを抜けば終わり。
リザーバータンクのフルード量を確認し、ダイヤフラムと白い内蓋をかぶせます。
最後に外蓋を留めておしまい。
リアキャリパーのオーバーホール
基本的な手順はフロントと同じ。
マスターのリザーバータンクを開ける
リアのフルードはそこまで色づいてはいませんでしたが、タンク底にちょっとしたゴミが。フルードを抜いた後で拭き取っておきました。
ダイヤフラムの確認。大丈夫そう。
キャリパーの取り外し
まずパッドピンを緩めます。リアのパッドピンは8mmのメガネレンチがかかるようになっており、なめづらそう。
VTR250に使えないかなと思い、試してみました。なんだかいけそうな気がする。何を隠そうこの私、六角レンチでパッドピンを緩めようとした際、なめてしまってとても面倒なことになったことがあるのだ。
話はCBの方に戻り、バンジョーボルトを緩めます。12mmのメガネレンチで。ほんのちょっと緩めるだけにしないと、周りがフルードまみれになるので注意(2回目)。
キャリパー本体を取り外します。12mmのメガネレンチで後ろ側を固定しているボルトを外し、
前側のボルトを支点に、持ち上げて右にずらすと外れます。実は前側のボルト、キャリパー側に固定されていて、キャリパーサポートには刺さっているだけなんです。外さなくてもキャリパーは外せます。
うん、きちゃない。
バンジョーボルトを外し、ホース・キャリパーからフルードを抜きます。
キャリパーのオーバーホール作業
バンジョーボルトの穴にエアを吹きこみ、ピストンを押し出します。
あらかた押し出したピストンを、ピストンツールで引っ張り出します。
外したピストン、傷とかはなさそうなので磨けばいいか。
キャリパーからシールを外します。
薄めた中性洗剤と歯ブラシで、キャリパー本体の清掃。
洗ったキャリパーを、流水ですすぎ。
エアで水気を吹き飛ばし、乾かします。
汚れたピストンは、ピカールで磨きます。磨く際は必ず円周方向に、縦溝が入るとそこからフルードが漏れる可能性があります(2回目)。
表面手で触って引っかかりがなくなるくらいで許してあげます。
表面が錆びたパッドピンも、磨きます。なかなかしつこかったし、交換でもよかったかも?
キャリパーの組み立て
清掃したパーツ類を組んでいきます。
まずはキャリパーにピストンを入れるところから。
リアキャリパーの純正シールセットは06451-443-405。フロントと比べると、1つでいいから楽ちん。
シールセットのうち、シール内側が平らになっている方が奥のシールで、ちょっと段がついている方が手前側のダストシール。
フルードで濡れたところにピストンをまっすぐ挿入していきますが、入っていく音がちょっとえっち(大事なことなので2回目)。
リアの場合はディスクローターを交換するので、パッドも新しくします。スポーツ走行するわけでもないし、純正相当でいいかなと。
組み上がったキャリパー。
リアディスクローターの交換
もともとついていたディスクローターは、段つきと摩耗が激しめ。
厚みを測ってみると、3.25mm。ローターには”MIN. TH. 4mm”と書いてありました。実際の厚みは3.25mm。いや、ノギスで測ってるからね、マイクロメーターじゃないから正確に測れてないかもしれないしね。数字小さめに出てるだけでしょ。
ディスクローターを外すため、リアホイールを外します。
ナット(車体右)側は24mm、
シャフト(車体左)側は17mmのメガネレンチで。
外したリアホイール。スプロケのガタつきはないので、ハブダンパーはへたってなさそう。
スプロケを外して、ハブダンパーを目視で確認。見た目の損傷もなさそう。
スプロケとハブダンパーを外した状態でひっくり返し、ディスクローターを外します。大抵の場合はネジロック剤が塗ってあるはずなので、長めのスピンナハンドルに6mmの六角ソケットをつけて、一発エイっと。やっぱりネジロック剤がついてました。
新旧ディスクローターの比較。新しいディスクはArashi製にしました。ジムカーナでArashi製のディスクローター使っている方もいらっしゃるので、大丈夫なものだと信じてる。
古いネジロック剤を落としたディスクローターの固定ボルトに、ネジロック剤を塗布してディスクを固定します。
できあがり。
なお、リアブレーキを組むのはまた後で。今組んだとしても、スプロケ交換でまた外すことになるので、そういった諸々の作業が終わってから。
まとめ
今回は、前後キャリパーのオーバーホール・リアディスクローターの交換を行いました。
交換したパーツはこれら。
ブレーキフルードはホンダ純正のものを使用。
また、ピストンを外す際、ピストン外周に傷がつかないよう、ピストンツールを使いました。
なお、他にもリアホールを外す作業があるため、リアブレーキを組むのはその作業が終わってから。
次回、チェーン・スプロケ交換、リアサス交換編へつづく。
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