今回は、VTR250のフロントフォークのオイル交換を行います。
フロントフォークってオイル交換するものなの?
一般的な使用で、1年に1回、もしくは走行10,000kmごとに交換するものと言われています。
フロントフォークは、バネとしての動きが主役に思われがちです。しかし、同じくらい重要なのが、ダンパーとしての役割です。縮めたバネが戻ってくるとき、普通は縮んだ分の勢いでビヨーンと戻ってきます。そこにダンパーがあると、その勢いを緩やかにしてすーっと戻るようにしてくれるのです。
そのダンパーとしての役割の強さを決めるのが、フォークオイルです。オイルには粘性があるものですが、その粘性のおかげでバネのぼよんぼよんとした動きをしなやかにすることができます。しかし、オイルの劣化が進むとだんだんと粘性が失われてしまいます。粘性が失われてしまったオイルだと、ダンパーとしての役割が小さくなってしまうため、例えばコーナーリングの際にフロントブレーキをかけてフォークを押し縮めてバンクさせようとしたとき、バンクさせる前にフォークが伸びてしまうおかしな挙動になってしまうのです。コーナーリング中もフロントがぽよぽよと動き続けてしまいます。そうなると、バイク本来の運動性能を引き出すことができなくなってしまうのです。
見落とされがちなフロントフォークのオイル交換ですが、バイクの運動性能をいい状態に保つためには重要なメンテナンスなのです。
フォークオイル交換の手順
フロントフォークを外して古いオイルを抜く
フロントフォークを外す前に、フォークの突き出し量を測っておきます。突き出し量が変わると、バイクの姿勢が変わってしまい、挙動が変わってしまうからです。
僕のセッティングでは、トップブリッジ上端からインナーチューブの上端まで、3mmです(トップキャップは含まずの測定値です)。
続いて、フォークを留めているトップブリッジのボルトを緩めます。ちなみに僕のVTR250は、トップブリッジをCB400SF(NC31)のものに変えているのでボルトの位置や形状が異なっています(参考:とりあえず変えてみた記事、形になるように色々と加工した記事)。
その後、トップキャップを17ミリのレンチで緩めます。フロントフォークを完全に外してから緩めようとすると、インナーチューブも一緒に回ってしまってうまく力がかけられないことがあります。なお、この段階ではまだトップキャップは完全には外さず、軽く回るくらいまで緩めるだけでOKです。
続いて、メンテナンススタンドをかけて、フロントタイヤとフロントフェンダーを外します。ちなみに、フロントのメンテナンススタンドをかけるときは、必ずリアもメンテナンススタンドをかけて車体を垂直にしなければいけません。
最後に、アンダーブラケットのフロントフォークを留めているボルトを緩め、フロントフォークを下から抜きます。
トップキャップを外すと、すぐそこにインナーカラーが入っていますので、そのまま抜き取ります。なお、トップキャップには中のバネの力がかかっています。飛んで行かないように、トップキャップを上から抑えながら緩めて外しましょう。
インナーカラーを外したら、廃油受けにフロントフォークの中身を排出します。このとき、ワッシャーとスプリングが順に出てきます。特にワッシャーはオイルの海に沈んでしまわないように注意しましょう。
あらかたオイルを排出したら、さらにインナーチューブを何度もストロークさせて古いオイルを出し切ります。
フォークの中から出したパーツ(左右3点ずつ)は、パーツクリーナーで古いオイルを洗い落としておきます。
新しいオイルを入れて油面を調整する
VTR250の3型(キャブでタコメーター有モデル)のフロントフォークのオイル量は467±2.5cm3です。
とは言いつつも、抜けきらなかったオイルがあったり計量カップの壁に残ったり、正確な量を入れることは困難なので、ちょっと多めに入れ、後で油面をみながら抜いていきます。
新旧オイルを比較してみます。新しいオイルは透明感がありますが、古いオイルは濁って粘性も落ちていました。ちなみに、月に3〜4日、3ヶ月ジムカーナの練習に使用したものです。ハードな使用とはいえ、たった3ヶ月でここまで劣化するなんて…。
オイルはホンダ純正の10Wを使用します。純正仕様です。
計量カップで測ったオイルをフォークの中に入れていきます。
インナーチューブをゆっくりと何度もストロークさせて、エアを抜きます。
続いて油面調整です。油面調整は、下のようなツールを使って行います。
ゲージを設定したいレベル(VTR250の3型は98mm)に合わせ、インナーチューブを一番押し縮めた状態でゲージを入れて、シリンジを引きます。オイルが吸えなくなるまで引けたらOKです。油面のレベルとは、インナーチューブ上端から油面までの距離のことを指しており、設定したいレベルの分だけ、シリンジにつながった金属の管をインナーチューブの上から入れて、入りすぎているオイルを吸い出すという仕組みです。
フロントフォークを組む
フォークの中にスプリングを入れます。スプリングの巻きが密になっている方が下になるように入れます。また、ゆっくりと入れないと、せっかく量をきっちり測ったオイルが飛び散ってしまうので注意しましょう。
続いて、ワッシャーを、
その後、インナーカラーを順に入れます。
スプリング・ワッシャー・インナーカラーの3点を順に入れたら、トップキャップを締めます。きっちりとトルクをかけて締めるのは難しいので、今の段階では外れない程度に軽くで構いません。
フロントフォークを車体に戻していく
フロントフォークをアンダーブラケット、トップブリッジに通し、突き出し量を測りながら位置を決めます。突き出し量が変わってしまうと乗り味が大きく変わるので注意が必要です。僕のセッティングでは3mm。位置が決まったら、アンダーブラケットとトップブリッジのボルトを軽く締めます。
フロントフォークを2本とも付けたら、フェンダーを装着します。ブレーキホースとメーターケーブルのサポートを共締めするのをお忘れなく(下写真参照)。
フロントタイヤを装着した後、メンテナンススタンドを外して、各部を規定トルクで締めていきます。
ここで一点だけ注意。トップブリッジのフォークを留めているボルトを締める前に、フォークのトップキャップを締めなければいけません。必ずトップキャップ→トップブリッジの順です。トップブリッジ部分を締めることでトップキャップのネジ部分に力がかかって若干歪み、その状態で締めようとするとネジ部にダメージが入ってしまうためです。
また、今回使っているトルクレンチはプレート型のもの。かけたトルクで工具自体がしなることを利用して、トルクを測るしくみ。プリセット型のように毎度毎度設定を変える手間がいらないので、作業がサクサク進みます。トルクをかけながら目盛を読むことになるので、キッチリ正確なトルク管理は難しいですが、効率優先したい場合は有用です。
まとめ
今回は、VTR250のフロントフォークのオイル交換方法、純正のセッティングについてまとめました。
見落とされがちなフロントフォークのオイル交換ですが、バイクの運動性能をいい状態に保つためには重要なメンテナンスです。VTR250のフロントフォークは簡単な構造になっているので、ぜひ自分でオイル交換に挑戦してみましょう。
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